天野喜孝展 想像を超えた世界

INTRODUCTION

展示作品紹介

    デビュー アニメーション

  • 科学忍者隊ガッチャマン 1987

    科学忍者隊ガッチャマン1987

  • マドンナ 1996

    マドンナ1996

  • メルヘン 1996

    メルヘン1996

  •  1967年、天野喜孝はアニメーション制作会社タツノコプロにて、プロのアニメキャラクター・デザイナーとして15歳から画業をはじめました。描いた端からテレビで次々と放映されるというアニメの第一線の現場が彼の働く最初の場所でした。ここで天野は『ヤッターマン』をはじめとする『タイムボカン・シリーズ』や『昆虫物語みなしごハッチ』などに登場する多くのキャラクターを生み出しました。
     この頃の作品には、すでに現在の天野の作品にみられる主な人物・キャラクター表現の基本が表れています。時代が要請するヒーロー、時代の理想を映す少女と女性、子供だけではなく大人も魅了するかわいいキャラクターたち。
     この時代に生み出されたキャラクターは、いまも天野の新作に描かれ続けており、天野がこの時期に生み出したキャラクターを大切に思っていることが伝わってきます。


    装幀画1

  • D-死街譚 愛蔵版シリーズ 装幀画 1992

    D-死街譚 愛蔵版シリーズ 装幀画1992

  • D-旨い夜想曲 装幀画 1991

    D-旨い夜想曲 装幀画1991

  • グイン 1990

    グイン1990

  •  1982年にタツノコプロから独立、小説の表紙や挿画を手掛けるイラストレーターとして活動を始めた天野は、1983年に菊池秀行『吸血鬼(ヴァンパイア)ハンター“D”』の挿絵を担当します。1984年からは夢枕獏、1985年からは栗本薫と仕事を行い、「天野の挿絵といえばこの作家」という作家たちとの仕事がこの頃から開始されています。
     天野の作品には、アニメーションの現場で才能を開花させたためか、動きのある絵を描くこと、そして絵が動くことへの強いこだわりがあります。『吸血鬼(ヴァンパイア)ハンター“D”』のなかで主人公「D」がマントを翻して宙を飛び、海に潜り、死闘を繰り広げるアクションシーンは、天野の才能と欲望を刺激し続けてきました。
     1985年から1997年まで、天野は栗本薫の長編シリーズ『グイン・サーガ』の挿絵を担当します。この一連の仕事からは、天野が西洋の古典から近・現代美術までを貪欲に学びながらその理解を深め、自らの作品の血肉にしていった様子が確認できます。天野はこの時代以降、独自の豪奢で幻想的な世界を様々な画風を用いて展開するようになります。


    ゲーム「ファイナルファンタジー」

  • FINAL FANTASYⅠ パッケージイラスト 1987

    FINAL FANTASYⅠ パッケージイラスト1987

  • FINAL FANTASYⅡ パッケージイラスト 1987

    FINAL FANTASYⅡ パッケージイラスト1988

  • FINAL FANTASYⅠ イメージイラスト

    FINAL FANTASYⅠ イメージイラスト1987

  •  天野は1987年に株式会社スクウェアから発売されたテレビゲーム「ファイナルファンタジー」のキャラクターデザインを担当します。テレビゲームのキャラクターデザインは、当時の天野にとって新しい表現ジャンルであり大きな挑戦となりました。以来、天野とともに「ファイナルファンタジー」は四半世紀以上の時を重ね、今も世界中から愛され続けています。
     天野が描いた独自のイマジネーションの世界と手掛けたキャラクターの魅力は、「ファイナルファンタジー」を通じて世界にアピールされました。「ファイナルファンタジー」における天野の仕事は、彼が手掛けた装幀画を通してファンタジー小説の


    装幀画2

  • ケルト・ファンタジィ 装幀画 1995

    ケルト・ファンタジィ 装幀画1995

  • 江戸川乱歩推理文庫 悪人志願 装幀画 1988

    江戸川乱歩推理文庫 悪人志願 装幀画1988

  • ライオンボーイ 装幀画 2004

    ライオンボーイ 装幀画2004

  •  天野は「可愛い」魅力にあふれた作品群を初期から現代までコンスタントに描いてきました。美男・美女の作品群とのギャップを感じさせますが、はじまりは古く、アニメーション時代から「ファイナルファンタジー」、そして現在に至るまで、この可愛いキャラクターたちは時には主人公、時にはシーンを活気づける存在として次々と生み出されてきました。
     2002年、小さくてかわいいキャラクターたちばかりが活躍する作品『N.Y. SALAD ニューヨーク・サラダ』が発表されます。この作品集からアニメ「やさいのようせいN.Y. SALAD」は誕生しました。アニメの人気も高く、妖艶な天野作品を知らずにいる若年層のファンも多いかもしれません。


    神話

  • 飛天 1989

    飛天1989

  • 源氏物語 明石の君 1992

    源氏物語 明石の君1992

  • 飛天 1989

    飛天1989

  •   天野の80年代の代表作には、東西の文化が豊かに混在する「飛天」シリーズがあります。半神半獣のような身体とその微妙な陰影表現、南国的で鮮やかな植物や豪華な装飾の色彩、平面的空間を活用した構図は、シルクロードの東西文化交流地点の産物としての敦煌莫(とんこうばっ)高窟(こうくつ)の飛天を思い出させる神話の世界です。
     つづく90年代には、「源氏物語」や「千夜一夜物語」をテーマにした作品が描かれます。
     オリエンタルな魅力に溢れた神話の物語が、天野だけが描き得る豪奢と幻想の世界で表現されます。
     2012年に制作された「DEVA ZAN」シリーズは、天野が「天野喜孝だけが表現できる神話の世界」を目指し、これまで獲得した様々な画法、構図、色彩、効果すべてを用いて、物語、キャラクター、各場面を自由に描いたものです。
     天野は、パリのアトリエで仕事をしていた折に、様々な美術館に展示される巨匠の名作の多くが神話を題材とするのを見て、自身の文化的背景と現代的要素を込めた、インターナショナルな共感が得られる物語と絵画を制作したいと考えたと語っています。


    DEVA LOKA

  • Candy Girl 2014

    Candy Girl2014

  • Candy Girl 2014

    Candy Girl2014

  • Candy Girl 2012

    Candy Girl2012

  •  最新作が並ぶこのゾーンの作品には、それぞれに天野が構想した神話をもとにした主題があります。
     「DEVA LOKA」とは、「神々の住む場所」という意味の仏教用語で、天野の作品では「混沌」が表現されます。「ファイナルファンタジー」でお馴染みのウェアタイガー、クレイジーホース、スカル、黒騎士、スライム、ボムや新しく創生されたモンスター達が混沌のなかから勢い良く湧き出しています。
     「Candy Girls」シリーズは、108体のアンドロイド達という設定で、70年代の天野の仕事やポップアートの影響が見て取れます。
     これらの作品群は、アルミパネルにアクリル絵具と自動車用塗料を用いて描画されており、画面はツヤツヤのピカピカで、「絵画」の物質的存在感についても新しい提案をしています。色面の効果を優先した平面的な描写と鮮やかな色彩は天野だからこそ成し得る、自由でそして新しい美の表現と言えます。